「食べログが一審で全面敗訴」 バックナンバー
以前に週刊文春が報じた、価格コム(食べログで知られている。以下食べログ)の問題についてこのコラムで書いた。 *『 』はヤフーニュースより
その概要の1つは、食べログの広告代理店が「食べログの評価を上げ下げ」しているのではないかとの疑惑。今まで良かった評価が有料会員に入ることを断ったために評価が下がった、との飲食店のインターネットへの投稿から始まったトラブルである。
2019年10月9日に食べログに公正取引委員会が調査に入った。食べログの圧力に耐えられず、公正取引委員会に訴えた飲食店が多数あったのではないかと思われる。
もう一つは、食べログが2019年5月に行った「アルゴリズム」の変更によって、「焼肉・韓国料理 KollaBo」が運営する「韓流村(以下韓流村)」のチェーン店の点数が下落し、それにより来店客数が減少し、莫大な損害を被ったとする訴えを起こした裁判である。
アルゴリズムとは聞きなれない言葉であるが、簡単に言えば評価基準である。つまり、韓流村の訴えは「チェーン店の場合は評価を落とす評価基準に変更した」ために、売り上げが大きく下がった。その賠償金6億3900万円を支払えという訴えである。『韓流村は4月に「食べログ被害者の会」を立ち上げるなど、今回の裁判に対して並々ならぬ意気込みで臨んだ。』
2022年6月16日、東京地方裁判所で判決が下りた。判決内容は「食べログはチェーン店の点数のみを恣意的に下げる不当なアルゴリズム「チェーン店ディスカウント」を設定・運用したと認定。それは独占法違反に当たるとして「食べログ」に3840万円の損害賠償金の支払いを命じた。
大局的に見れば「韓流村」の全面的勝利であり、韓流村にとっては『とりあえずは”一区切りついた“と言える。』 ところが、食べログは判決が出たその日に、判決は「不当である」と即日控訴したのである。
食べログは本来レビュアーの評価によって成り立っている。アルゴリズムなど、分かったような、分からないような「屁理屈」をこねまわして、レビュアーの評価を変えるなどあってはならない。大勢のレビュアーの評価によるからこそ信頼を得ているのである。
万一、食べログによる恣意的な評価基準であると知れば、ネットユーザーは食べログの5段階評価を信じないだろう。食べログが恣意的に評価基準を変えるなら、「5段階評価は当社独自の基準で決めています。レビュアーの評価は単なる参考です。」と明記すべきだろう。それが嫌なら食べログが独自の調査員を雇って、全国の飲食店の評価をするべきである。
うがった見方をすれば、全面的に「レビュアーの評価である」かのような錯覚を利用し、自社に都合の良い評価基準に設定しているのではないか。つまり食べログの有料会員になるように誘導することが目的ではないか、食べログの影響力の大きさを悪用しているのではないか、との疑念を持たれても不思議ではない。
前にも書いたが、美味しい・不味いは誰が決める。味覚はそれぞれの半生の中で身に付いたものである。また、時代によっても大きく変化する。食べログの評価を鵜呑みにする人が多いのに、今更ながら驚かされる。
食べログは商いでやっている。決してボランティアではない。情報を正しく受け止める情報リテラシーを身に付けたいものである。また、個人の努力に頼るだけでなく、国としては法的整備を進めて欲しいものである。
2022年08月