「2150年には日本人がいなくなる!」 バックナンバー
民間の有識者で構成する「人口戦略会議」によれば、2050年までの約30年間で、全国の4割にあたる744の市町村が最終的に消滅する可能性があると発表した。広島県では竹原市、府中市、安芸高田市、江田島市、安芸太田町、神石高原町の6市町である。
人口減少問題は50年以上も前から、日本の存続にかかわる問題としてずっと言われ続けてきた。しかし、それに対する根本的原因の分析と対応は何もなされずに今日に至っている。政府も重い腰を上げて対応しようとする姿勢だけはあるが、それがどこまで有効な手かどうかははなはだ疑問である。
人口減少問題は何回か、このコラムで取り上げた。最近では2022年9月でも取り上げている。その一部をここで再掲載してみたい。
*以下は2022年9月を一部省略しながら引用
日本が抱えている最大の問題は、他の国とは異質でより深刻な問題と言えよう。それは人口減である。このまま推移すれば日本人は地球から消滅することになる。
1.日本の人口の推移(以下のネット情報参考)
時代 西暦 人口
⑴ 平安時代 1150 630万人
⑵ 慶長時代 1600 1220万人
⑶ 江戸時代 18世紀以降 3100~3300万人
⑷ 明治時代 1868 3400万人
⑸ 明治時代 1912 5007万人超
⑹ 昭和時代 1967 1億人
⑺ 平成時代 2005 1億2573万人
⑻ 令和時代 2020 1億2367万人
⑼ ? 2100 (中位予想)6414万人 (低位予想)4645万人
日本の人口は明治以前と比較すれば3~4倍増加している。明治維新から短期間でヨーロッパに追いつくことができたのも、人口増加が要因の一つと考えられる。そして、2020年では人口の1億2367万人、これは世界11位である。(世界195か国中)
ちなみにG7の日本以外の国の人口は以下である。
世界順位 国名 人口 世界順位 国名 人口
3位 アメリカ 3億3480万人 19位 ドイツ 8390万人
21位 イギリス 6850万人 22位 フランス 6560万人
25位 イタリア 6030万人 38位 カナダ 3840万人
この人口減が続けば、やがて日本人は世界から消えることになる。これは決して単なる妄想ではなく現実である。世界の人口が全体として増加している中で、日本の人口は減少し続ける。そのため世界における人口の減少の割合は、世界における日本の人口割合の低下を如実に示している。
1950年 2020年 2100年
日本の人口の割合 世界5位3.32% 世界11位1.62% 世界38位0.6%
1950年と比較すると、世界における日本の人口の割合は5分の1以下に落ちている。2020年から2100年の80年間で7722万人、1年間平均約97万人もの人口の減少である。このまま推移すれば、単純計算で2100年から約50年間で日本人は地球から消滅することになる。
人口減の原因は1つではなく、多くの理由が複雑に絡み合っている。だが、物事は単純化して捉えると本質が見えるものだ。率直に言えば、結婚できない経済状況が大きな原因の一つではないか。企業は自社の経営のために正社員の割合を減らし、パート、アルバイトにシフトする。さらに、この30年間先進国の中で唯一給与が下がり続けている。
経営者が自社の存続・発展のために、当然と言えば当然の方針であろう。経営者だけでなく、政府もそれを後押しするように企業の税を下げ、その穴埋めには消費税を上げている。そのため企業は減税によって空前の内部留保金をため込んでいる。逆に国民の懐具合はどんどん悪化の一途をたどっている。
さらに、個人消費を支える年収500万円前後の中堅層の割合が下がり、収入の格差がますます拡大している。まさに企業栄えて国滅ぶ状態である。いや、その企業とて海外の企業にならなければ、日本には生産するための労働者も消費者もいなくなる未来が待っている。
国内外に問題は山積しているが、<人口問題=安定した結婚生活と子育てができる国づくり>が急務である。日本国と日本国民の将来を見据える政治家と経営者が出てきて欲しいと願っている。時間的に猶予はいつまでもあるものではない。
企業も自社の利益ばかりを目指せば当面の利益は出るだろうが、長期的に見れば労働力不足、さらには消費者の減少という手痛いしっぺ返しを受けることになる。子育てが楽しくなる環境を整えることが企業だけでなく、国民一体となって取り組まなければ日本人がこの地球からいなくなる日は遠くない。
2024年05月