「マスコミの旧ジャニーズへの弱腰対応」 バックナンバー
旧ジャニーズ事務所(現smile up 以下ジャニーズと表記)の性加害問題は今年になって急にクローズアップされた。今までまったく沈黙をしていた、換言すれば“見て見ぬ振り”をしていたメジャーなTV、新聞が堰を切ったように競って報道している。そのきっかけはご存じのようにイギリスのTV報道である。
高視聴率を取るためにTV番組の制作する手っ取り早い方法はジャニーズのタレントに頼ることであった。そのためだろう、どのマスコミも性加害問題を取り上げなかった。ジャニーズ批判はタブーとされていたとしか思えない。
約20年も前に「週刊文春」がこの問題を取り上げた。そのときジャニーズは事実無根として裁判にかけた。一審では「週刊文春」の報道が認められたが、マスコミはそれを無視。二審では一審と逆の裁判結果となり、ジャニーズの主張が認められた。一部のマスコミは一審の時とは一転して「週刊文春」の敗訴を報道した。
ところが、三審の最高裁では「週刊文春」の主張が認められた。つまり、裁判の結果「週刊文春」の正当性が認定されたことになる。マスコミはこのときも無視を決め込んだ。つまり、ジャニーズに有利な報道はしたが、不利な報道はしなかったということだ。
最近のジャニーズをマスコミが競って叩くようになった理由はもう一つある。SMAPが解散しメンバーのうちの三人が新事務所に移籍した。その後三人はTVから姿が見えなくなった。これはジャニーズからTV局への圧力があったとしか思えない。これに対して公正取引委員会が注意勧告した。ここから三人が急にTVに出るようになった。
ところで、未成年に対する性加害の問題は、先進国では20年以上も前から大きな問題であった。一般人では知っている者が少なくても、マスコミ人がそのことを知らなかったはずがない。万一それを知らなかったとすればマスコミ人としては恥と言えるレベルの認識不足。
今、マスコミは「自己反省」と称して、「当時は少年に対する性加害問題が重要なことであるとの認識が不足していた」と言い訳をしている。それなら、裁判の結果の際の報道でジャンーズが正しいと認定したときには報道し、その逆の判決のときには報道しなかった理由を何と答えるのだろう。
新社長の東山紀之氏の記者会見で述べた「(性加害行為)を見て見ぬふりと言われれば、そうかもしれない」に、マスコミは「見て見ないふりをした人が社長で良いのか」という厳しい批判をしていた。今までの自分たちマスコミの姿勢とまったく同じではないか!
マスコミは責任をどう取ったのだろう!自分たちのことはまるで頬かむりして、正義の味方ぶっているに過ぎないではないか!現在また新たな問題-ある政治家の妻に関する問題-を週刊文春は取り上げている。しかし、マスコミは一切その報道をしない。
林真理子氏はマスコミの姿勢(ジャニーズを徹底的にたたきながら、政治家の妻の問題にまったく触れない)に対して「どの口が言っているのか」と厳しく批判している。結局マスコミは強いものは批判しないが、批判しても大丈夫となったときに報道する姿勢は一貫しているということだ。つまり“ドブに落ちた犬は叩け”を実行しているに過ぎない。
新たな政治家の妻の問題も、「もう大丈夫」と彼らが感じるようになったら報道するのだろうか?
2023年11月