「フードロスとどう向き合うか?」 バックナンバー
食べることが大好きでいろんなお店に食べに行く。しかし、グルメなどの格好の良いものではない。手当たり次第に食べるパターンで、単に食い意地が張っているだけである。だからジャンルにも価格にもこだわりがない。その日に身体が欲しがっているものを食べるだけ。
ところが、最近は事前予約のお店が増えた。そのため身体が欲しがっていても(食べたい物があっても)、予約がなければ食べられない状況が増えている。もちろん、食堂の定食などの予約は必要がないけれども、イタリア料理とかフランス料理の3000円前後でも予約がなければ食べられないことも増えた。
個人的にはまことに不便だけど、国全体を考えると予約制度は余儀なくされる傾向である。というのも売れ残る食材の廃棄の量が半端ではないらしい。日本の廃棄食料(フードロス)は年間2000万トンにも及ぶという。これは途上国に住む5000万人の1年間の食料にあたる。
*多種なデータがあり令和4年の農林水産省のデータによれば年間1624万トン超
個人的にはなかなか実感できない数字ではあるが、上記の農林水産省のデータで言えばフードロスの量は家庭用247万トン、事業用275万トン。先の2000万トンには生育が悪い物、形の悪い物などが大半だが、我々が日常生活の中で何気なく食べ残したり、衝動買いなどして、賞味期限切れで廃棄したりしているフードロスの積み上げがこれだけの莫大な量になるということだ。
食糧問題を世界的なマクロで捉えれば、世界ではすべての人が食べるのに十分な食料が生産されているそうだ。しかし、9人に1人が何らかの栄養不足に苦しんでいるという現実がある。
ユニセフによれば、『アフリカでは今、干ばつや紛争を背景とする大規模な食料危機が発生し、何百万人もの子どもたちが、栄養不良や感染症などで命の危険にさらされています。とりわけ、「アフリカの角(Horn of Africa)」地域で暮らす子どもたちとその家族が置かれている状況は非常に深刻で、エチオピア、ケニア、ソマリアの3カ国だけでも、170万人以上にのぼる子どもが重度の急性栄養不良の治療を緊急に必要としています。…』
このフードロスは単に廃棄量が多いだけの問題にとどまらない。日本は食料の自給率が低く38%しかない。逆に言えば62%は海外からの輸入によって賄われていることになる。国際的に大きなトラブルが生じれば、モロにその影響を受けることになる。
小麦、トウモロコシなど生産量の多い地域が戦争に巻き込まれれば、一気に価格が上がるだけでなく、そもそも食料の入手が困難になる。また、地球温暖化による雨量の変化によって、農産物の生産が激減する影響も計り知れない。
「日本もったいない食品センター」が指摘しているように、『世界では栄養不足の方がいるから食品を捨てるな、といったきれいごとを理由にする以前に食べ物に対する姿勢を正すべき』時代に入っている。*『』内は日本もったいない食品センター
食品ロスはさらに廃棄物処理の問題にも波及する。前述の「日本もったいない食品センター」によれば、『平成23年度の福井市で調べた一般廃棄物の処理の内訳では82%が燃やせるゴミであり、その中の46%が食品廃棄物である』という。
日本全体でみると、生活のパターンは都道府県で大差があるわけではない。したがって、この数値を元に食品ロスの廃棄処理費用を計算すると、食べられる食品の廃棄のために、一人当たり1431円の費用がかかっていることになる。
これも単にコストの問題だけでなく、それを燃やすときに発生する二酸化炭素の増加につながる。これは地球温暖化を早めて異常気象の遠因ともなる。もちろんエネルギー源が最も二酸化炭素の排出量が圧倒的に多いが、私たち一人一人が実践できることを行わなければ、地球が悲鳴を上げている現状を変えることができない。その時間的猶予はない。
2023年07月