「信号機のない横断歩道の運転マナーの向上」 バックナンバー
最近、運転をしていて「アレッ」と思うことがある。それは信号のない横断歩道で、歩行者が通ろうとしているとき、一時停止する運転手が増えたことである。今ではほぼ毎日そういう状況にでくわす。実に喜ばしい状況である。
悲しいかな、広島県は一旦停止の極めて少ない県の一つであった。今からちょうど2年前、そのことをこのコラムで書いた。< >内は2020年11月ひとりごとを引用
<先日何気なくTVを見ていたら、信号機のない横断歩道での車が一時停車する都道府県別割合を報じていた。一位の長野県の一時停車率は約85%で、最下位のある県の停車率は何と約5%だった。>
<この違いは何であろうか?それは子供たちへの指導・しつけの違いであろう。長野県では子供たちに横断歩道を渡るときには運転手に頭を下げることを徹底させたのである。さらに通り過ぎたあとに、もう一度車に向かって頭を下げる。運転している者はこれを見ると一時停車せざるを得なくなる。>
<子供たちが大人になって車を運転する時は、横断歩道で人が渡ろうとするときには一時停車するのが常識になる。こういう問題解決には、ともすれば取り締まりを厳しくして、高い罰金を科そうという発想になる。確かに即効性はあるだろうが、取り締まりが緩やかになればまた同じような状況が生まれることになる。>
本来、道路交通法では信号のない横断歩道を人が通ろうとしている時には、停車しなければならないと定めている。特に見通しが悪いところなどでは極めて危険である。交通事故もたびたび起こる。しかし、全国的にそれを守ろうという風潮が少ないのである。
ある県が長野方式を導入しようとすると、「取り締まりを厳しくするのが本来のあり方」という意見もあったようだ。確かにそれはあながち間違いではない。しかし、それよりも長野県で成功している方法を取り入れた方が、前述の理由だけでなく、はるかにより人間的で、より効果的ではないか。
日本は世界に名だたる高齢社会に突入している。年齢を重ねると若い時の敏捷性は減少する。若い時のようにとっさに危険を避けることは困難になる。運転マナーの向上は、高齢社会では必要不可欠である。
それだけではない。広島県には宮島、平和公園、原爆ドームという強力な観光資源がある。他の都道府県からだけでなく、海外からの観光客も多い。彼らは有名な観光地をみて楽しむだけでなく、広島の人たちとの日常生活での触れ合いも、旅の楽しみの一つに違いない。
どんなに楽しい旅行でも、観光客に道などを尋ねられたときにそっけない対応とか、観光客に対する交通マナーの悪い運転に接すると、楽しい思い出が一気に嫌な思い出に変わる。この観光資源をいかすためにも、より交通マナーの良い運転は重要な要素になるのではないか。
さらに広島の運転のマナーが上がって欲しいものだ。私自身も肝に銘じて運転したい。