カープが最下位だって?やっちゃろうや! バックナンバー
プロ野球評論家といわれる80数人中50数人の、今年のセリーグの順位予想の最下位はこともあろうに広島カープ。野球評論家の先生方は一体何を見て予想を立てたのであろうか?
昨年度の順位が4位で、しかも不動の4番打者の鈴木誠也選手がメジャーに行って抜けたのだからもっと順位が下がるに違いない、という素人でも考えそうな順位予想である。これでプロの評論家と言えるのか?そんな予想ならプロ野球評論家にお聞きしなくても、野球に少し興味のある小学生でも分かる。
評論家と称するからには、より広くより深くそれぞれのチームの現状を精査し判断するのが当然だろう。広島カープで言えば、昨シーズンの後半から明らかに若手が伸びてきている。中村、坂倉、小園などの伸びはまさしく急である。
西川も昨年と比べて確実性が上がっている。さらには上本の大化けは心強い。彼がこれほどまでに大化けするとは、私も失礼ながら想像の外であった。この大化けは評論家の先生方が予想できなかったのは仕方がないし、こればかりは責められない。
新人の末包は、オープン戦では大抜擢の4番に起用され、粗削りながらレギュラーをつかんでいる。外角に逃げるプロの厳しい攻めに慣れて対応できるようになると、打率はもっとアップするのではないかと期待を持たせてくれる。
ところで、何といっても野球の勝敗に最も大きな影響を与えるのは投手力である。FAを行使せずカープに残ってくれたエースの大瀬良と昨シーズン最多勝の九里。加えて安定感抜群の森下、抑えの栗林など、セリーグの他のチームに決して引けを取らない。床田も昨年とは違う自信らしいものを感じる。
加えて若手の玉村、遠藤も昨シーズンと比べると明らかに力をつけている。さらには中継ぎとして中崎が帰ってきたのは大きい。黒原も新人とは思えぬマウンド度胸に驚かされる。これで最下位予想とはまったくもって信じがたい。
もう一つ先生方に申し上げたいことがある。評論家の先生方は本当に野球を愛しているのかと!本当に愛していれば、今のプロ野球のシステムには明らかに大きな欠陥があるのを見逃せないはずだ。どういうことか?金のあるチームが圧倒的に有利なシステムであるということだ。
FAでお金に物を言わせて、ライバルのチームから抜くのである。自分のチームの力のアップだけでなく、ライバルチームの力を下げるというダブルの効果がある。自分のチームの役に立たなくても、飼い殺しをしておけば、ライバルチームの力を削ぐことになる。
メジャーのように人件費の枠を設け、その枠を超えたチームは罰金を払う。その集めた罰金が弱いチームに分配するシステムが合理的ではないか。こうすると全体のチームの力のバランスが保てる。球界全体として発展をするためのシステムつくりが急務である。
球団のオーナーがけた外れの資金力を持った場合、1つのチームだけが飛びぬけた選手を集めることができる。そういう日が早晩やって来そうでならない。世界に目を向けると、ネット長者の資産は何十兆円にもなっている現実がある。そういうプロ野球オーナーが現れた場合、単なる杞憂ではなくなる。
ところが、日本のプロ野球機構は相変わらず改革する気配がない。資金の少ないチームがやっと育てた選手を、いとも簡単に高額な年俸で引き抜くことを繰り返している。野球を愛しているなら、評論家の先生方は、そのことをマスコミを通じて語ってもらいたい。
カープの選手とスタッフの方、そしてファンの方、カープは決して最下位のチーム力ではない。やっちゃろうや!
2022年05月