実力がなければ六校はムリ! バックナンバー
広島県公立高校の入試制度が現中2の生徒から大きく変わる。このことについては中学生の保護者にとっては関心事に違いない。小学生の保護者にはまだ遠いこととして思われている方もいるだろう。しかし、知っていなければ、その時になって慌てることになりかねないほど大きな変更である。
このコラムで何度も書いているが変更の概要は以下である。
入学試験 内申点(成績表) 面接点 合計点
現状 125点(250÷2) 130点(3年間計) なし 255点
変更後 60点(250×0.24) 20点(3年間計) 20点 100点
簡単に言えば入試の割合が大きく増え、内申点の割合が大きく減少したということである。それに面接点が加わり、内申点と同じ割合で評価される。
これを具体的な例を挙げて説明する。
例:普段から真面目に勉強に取り組んでいて、定期テストの得点で450点以上を確 保しているA君が広島中堅六校受験(皆実高校とか井口高校)のを受験
A君の内申点(成績表平均4.5)は117の高い内申点。
そのA君が入試で250点満点で140点を取った場合(小数以下四捨五入)
(*面接は不確定要素が大きいので20点満点中10点とする)
入試 内申点 面接 合計点 割合
現制度 70点 117点 なし 187点 73% 堅く合格
変更後 34点 19点 10 63点 63% 不合格の可能性大
見てお分かりのように内申点のウエイトが下がると、従来の制度なら合格は堅いけれども、変更後の仕組みでは落ちる可能性が高くなる。なぜなら、A君で言えば、実力が低いにも関わらず、高い内申点によって支えられていたに過ぎなかったからである。
このように今回の変更は入試の結果を劇的に変えることになる。3年間どの科目もすべて成績表で5を獲得した生徒の内申点の得点が20点に対して、3年間成績表が3だった生徒の内申点は12点で、その差はたった8点に過ぎない。
現状における内申点の差は3年間すべて5の生徒は130点、全部3だった生徒は78で、何と52点もの差があるのとは雲泥の差である。
ここで言いたいのは内申点を無視しろ、ということではない。目先の定期テストとか単元別テストのみに目を向けるな、ということである。長いスパンで物事をとらえ、小学生から実力をつけることと向き合うことが重要であるということだ。目先の得点ばかりにこだわり、実力をおろそかにすると、一定以上のレベルの高校、大学に合格できるものではない。
学校で出題された定期テストとか単元別テストの過去問ばかりをやって、高得点を取らせる塾もあるが、入試で思わぬしっぺ返しを受けることになる。学校の試験では同じ問題が出る場合もあるだろうが、入試ではまったく同じ問題は出題されない。しかも、広島県の入試問題はレベルが高い。
そのため高校入試にとって、塾の選択が今まで以上に慎重にならざるをえなくなるだろう。まともに問題の解けない講師の塾とか、入試実績がないためにそれを隠ぺいするためにハッタリや虚偽に近い合格実績を謳う塾などは問題外、であることは言うまでもない。
さらに面接が新しく加わり、しかも内申点と同じ割合である。自己を正しく認識し、それを相手により正しく伝えられる表現力が必要である。それが指導できる塾がどれだけあるだろう?
今まで以上に塾の底レベルが試される変更が、2023年の3月の入試から間違いなく実施される。備えあれば憂いなし。
2022年01月