遂に食べログが裁判沙汰に! バックナンバー
週刊文春によれば、ユーザーの口コミ評価で知られている「食べログ(カカクコム)」が、東京都内を中心に38店舗を展開する韓国料理チェーン「KollBo(コラボ)」の運営会社の韓流村に訴えられている。
< >内は文春記事より
韓流村の社長が言う。<当社は店舗ごとに毎日食べログの点数を記録していました。しかし、ある日その点数が軒並み下がっていたのです。>
食べログ(カカクコム)は日本最大級のグルメサイトである。このグルメサイトでは飲食店を5段階で評価する。その評価が3.5以上が美味しい店との見方がある。しかし、この5段階評価は今までに何度も問題になった。
私の記憶では最初に問題となったのが、このサイトの5段階評価を上げるのを請け負う業者が存在したこと。飲食店から依頼を受けた業者は、その店の評価を上げるべく良い口コミを書き、高い評価をするのである。
次に、食べログの有名なレビュアーを接待して、高い評価をしてもらうセコイ飲食店の存在が明らかになった。有名なレビュアーの影響は大きく、そのアナウンス効果は絶大だった。だが、これらはあくまで店舗サイドの問題でカカクコム自体の問題ではなかった。
続いて問題となったのは、食べログの広告代理店が「食べログの評価を上げ下げ」しているのではないかとの疑惑。今まで良かった評価が有料会員に入ることを断ったために評価が下がった、との飲食店のインターネットへの投稿から始まったトラブル。これは今までとは本質的に違って、運営するカカクコム自体の問題であった。
2019年10月9日に食べログに公正取引委員会が調査に入った。食べログの圧力に耐えられず、公正取引委員会に訴えた飲食店が多数あったのではないかと思われる。役所が絡むとなると「独自の計算式」などと曖昧な説明では逃れられないだろう。これで問題はほぼ解決するのではないかと思っていた。
ところが今度は訴訟沙汰である。文春によれば<食べログで韓流村の店舗の点数の急落が起きたのは、2019年5月21日のこと。韓流村の任社長が言う。「悪い口コミが増えたわけでもでもないのに急に点数が下がったのです。グーグルやホットペッパーなどの点数は下がっておらず、食べログだけでこの現象が起きた。新宿店では3.51が3.16になり、中目黒店に至っては3.51が3.06にまで下落。…>
韓流村だけでなく、焼肉トラジ、一蘭、天一なども点数が下がっているという。共通するのは十数店以上展開するチェーン店だという。これらの飲食店は食べログの有料会員ではない。これらの店舗からも収益を上げようとしているのではないかとの疑念も生じる。
その結果売り上げが月平均約2500万円落ちたという。韓流村は2020年5月にカカクコムを提訴した。<一方、カカクコム側は2019年にアルゴリズムを変更したと認めたものの「公平公正にやっているというばかり。>
<裁判はしばらく膠着状態が続いた。だが、-今年4月、事態は動きだす。韓流村が独占禁止法に違反するシステムの指し止め請求を加え、食べログの点数の表示を止めるよう求めた。さらに、元公正取引委員会事務総局審査局長・南部利之氏の意見書も提出した。>
これにより、この裁判が、独占法などの訴訟を中心に扱う民事第八部に急遽裁判体が変更された。さらに南部氏の意見書の正当性を確認するために、裁判官が公取に意見を聞くように求めた。これは異例のことだという。
まだ、この裁判に決着はついていない。しかし、カカクコムは今度ばかりは厳しい状況に追い込まれているように感じられる。
ただ、不思議でならないのは、カカクコムの5段階評価の上げ下げによって売り上げが大きく変わるという現実である。美味しい、不味いをカカクコムに決めてもらっている人の多さに驚く。
「美味い、不味いは誰が決める。それは誰でもない、アナタである」。
2021年11月