「日本人の3分の1は日本語が読めない」 バックナンバー
あの週刊文春が衝撃の記事を掲載した。 *注-< >は文春記事引用
<「言ってはいけない!」日本人の3分の1は日本語が読めない。>
<国際成人力調査(PIAAC)は16歳から65歳の成人を、仕事に必要な「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」を測定する国際調査機関だ。OECD(経済開発協力機構)加盟の先進国を中心に24か国・地域の約157000人を対象に実施した。>
文章読解力の問題例では(文春の例とは異なる例題)、保育園のルールを読んで、「子どもは遅くとも何時までに保育所に来ればいいですか」というレベル3の小学生レベルの問いに、正解できない成人が27.7%もいるという。
○文章読解力の問題例
保育園のルール
私たちの保育園にようこそ!おおいに学び、そしてみんなと仲良くなれる1年であることを願っています。少し時間を割いて当保育園のルールを確認してください。
●お子さんを午前9時までに連れてきてください。
●お昼寝用に、小さな毛布や枕と小さいぬいぐるみ、あるいはそのどちらかをお持 ください。
● お子さんに楽な服装をさせ、着替えをお持ちください。
● 宝飾品類やお菓子は禁止です。誕生日の場合は、子供に与える特別なおやつに ついて担任と話して下さい。
● お子さんにはきちんと服を着せてからお越しください。パジャマではいけませ ん。
● フルネームで署名をお願いします。これは入園に必要な規則です。
● 朝食は午前7時30分までに用意しております。
● お薬をお持ちになる場合は、ラベルが貼ってある元の容器にいれたままにし、各 教室に置いてある与薬依頼書に記入しなければなりません。
● 質問があれば、担任または山田、宮内にお聞き下さい。
○数的思考力の問題例
問:4つの図のうち、組み立てるとイラストの図に一番ちかいのはどれですか。
縮図の縮尺は正確ではありません。
上の図の数的思考力の問題では、小学校5年生レベルの問題が解けない成人が
36.3%もいるという。
そもそもパソコンを使う問題では、クリアできる日本人は8.3%に過ぎない。対象となった成人のうち、「コンピュータ経験なし」「コンピュータ導入試験不合格」「コンピュータ調査拒否」が合わせて36.8%もいるということだ。
つまり、日本語が読めない、数的な思考力が小学4年生レベル、パソコンが使えない。こういう成人が約3人に1人前後いるということになる。しかし、国際的に見れば、日本は調査対象の国・地域でトップの成績である。
<AI(人口知能)に東大の入学試験を受けさせる「東ロボ君」で知られる新井紀子氏は、全国25000人の中高生の基礎的読解力を調査し、3人に1人が簡単な問題文が読めないことを示して日本社会に衝撃を与えた>
<一般にこの結果は「日本の教育が劣化した」と受け取られているが、PIAACのデータはそれが誤解であることをはっきり示している。昔から、日本人の3分の1は日本語が読めない子どもたちだった>
淳風塾の広告に、たびたび掲載している。「お子様に1つの文を読ませて、その内容を自分の言葉で言わせて下さい。(一字一句)文章と同じように言おうとするはずです」。その指摘が図らずも正しいことが証明された。
先日の説明会でも示したように、2021年の大学入試の大変革を受けて、高校入試は2016年から大きく舵を切った。これは劇的に変わるであろう、英語だけの問題ではない。
第一に、問題のボリュームが一気に増加。第二に、単に記憶しているだけでは解けない問題への転換。第三に、資料を読みこなす力を試す問題の増加。さらには文章表現力を問う問題の増加。
読み書きがすべての基礎であるが、それが明確に試される入試に変わっているのである。保護者の時代の入試問題は、文の読解力が多少劣っても、何とか対応可能であったが、現在の入試では対応は極めて困難である。まず、理科、社会においてすら、何を求めているのか理解しがたいと感じる生徒が多数いるだろう。
簡単に言えば、問題を解く前に「何が問われているのか」を理解することができない生徒がいるということだ。
得点アップ、学力をアップの前提は、日本語が読めることである。説明会でも申し上げたように、数学においても、小数、分数、角度の計算レベルでも分からない中学生が想像以上に多い。小学校教育の在り方を見直す時期にきている。
2019年03月