「日本ボクシング連盟の告発問題」 バックナンバー
日大のアメフト部の問題が冷めやらぬうちに、今度はボクシング連盟の告発がマスコミを賑わせている。日本ボクシング連盟の終身会長の在り方に異を唱え、告発状を提出したのである。
告発状の主なポイントは以下である。
⑴ 成松大介選手に交付した助成金240万円の不正流用問題-つまり彼個人に与 えられた助成金240万円を3等分し、他の2人の選手に分け与えるように指示 したのである。
⑵ 2016年の岩手国体において、2度もダウンをした奈良県の選手が判定勝ち した不正判定の問題。アマチュアボクシングの世界ではこれを「奈良判定」と言 うらしい。
⑶ 試合用グローブ販売などにおける不透明な独占販売の問題。
⑷ 全国大会を開催する都道府県では、山根会長をもてなす特殊な「おもてなしリ スト」が出回るらしい。
例えば愛媛では
・ミネラルウオーター6本は冷蔵庫へ入れる
・みかん1ネット、りんご(むつ)2~3個
・ブドウ 高級品
・バナナ1房 高級品
・メロン などなど、微に入り細に入り… このリストを見ていると、こんなこ とまでやるのかとバカバカしくなる。まるで独裁国家の元首をもてなすかのよう だ。この民主国家日本においてそういうことがまかり通っているのかと不思議に さえ感じる。
⑸ それ以外にも優勝すれば「山根会長のお蔭です」と言わされるなど、まるで笑 い話の世界である。
しかし、先日から報道されている日大タックル問題に発した、日大理事長のワンマン体制の問題と同一線上にあるのではないか。さらにいえば、加計学園の問題もその根っこは同じではないかとさえ思われる。
今回の問題はともかく、権力を握っている者が、その権力を保持するためにやることはほとんど同じである。つまり、権力にとって邪魔になる者を遠ざけ、逆に権力に媚びる人間を登用するのである。
これをあからさまに繰り返せば、周りは排除される恐怖を感じ、逆らう者がいなくなり、やがて行きつく先は独裁的体制。そして茶坊主の取り巻きが「忖度」を繰り返すようになる。
こう考えると、日本のアチコチで同じような状況が存在するのではないか?体育系に限らず多くの日本人の持つ美徳である「和の精神」を逆手に取り、好き勝手を繰り返している組織が、これを機会にあちらでもこちらでも暴かれる可能性もある。
なぜなら、日大アメフト問題で、絶対的な権力を持つ田中理事長に反旗を翻した教職員組合に勇気づけられて、今回の告発者たちが立ち上がったのではないかと思われるから…。同じように、今回の告発に勇気づけられた人々が、独裁体制・強権的運営を今も続ける所があるとするなら、絶好のチャンスとばかりに立ち上がるのではないか。
しかし、振り返ってみると、この構造は日本だけではない。どこの国でも、権力を持つ期間が長くなれが、そこには権力の絶対化が進み、腐敗がはびこるのは過去の歴史が示している。
どの世界でも長期政権は多くの弊害を生むことになる。絶対と思われていた権力に勇気をもって立ち上がったボクシング連盟の人々は、さらに腐敗の証拠を出すに違いない。そのとき権力を持っていた人たちはどう動くのであろうか?あがけばあがくほど追いつめられるというのが歴史の教訓であるが…。
2018年08月