高度にシステム化された医療の現状 バックナンバー
目の調子が悪くて町医者に行くと、手術は現在その医院ではやっていないという。そのため大学病院を紹介された。1,2度大学病院に行ったことはあるが、20年以上も前のこと。最近は大学病院だけでなく、大きい病院に行く機会はまったくなかった。
驚いたことに大学病院内のシステムは想像以上にコンピュータで管理されていて、まるで浦島太郎状態である。大きい総合病院に通っている人には、「何をいまさら!」と当たりの知識だろう。もちろん私もコンピュータを駆使したシステム化を想像してはいたが、これほどとは思わなかった。
行くとまず予約機に診察カードを入れる。すると予約するためのカードとポケベルが出てくる。それぞれの科の診察予約受付にカードを持って行っておけば、後はポケベルで病院が指示を出すのである。例えば、診察が近づいたので診察する場所の近くに来るようになど…。
バイブレーター式になっており、確認のスイッチを押せば、病院の指示が表示される。大学病院は外来患者が多く、余りにも時間がかかる。最初は忘れられているのではないかと心配になってポケベルの確認ボタンを押すと、どうもそうではないようだ。なぜなら○○検査終了など私の終わった検査の内容が表示されている。つまり間違ってはいない。
検査においても、それぞれの若い検査技師のパソコンを打つスピードの速いこと。さりげなく流れるような速さで打っている。この情報が記載されたカードが医者に届けられる。「これからの医療関係者はパソコンができなくてはやっていけない」と聞いたことはあるが、すべてがコンピュータ管理である。
古くからの町医者はともかく、最近開業した近くの個人医院でも、医師がパソコンでカルテを管理している。医師のパソコンを打つ速さに驚いたものだが、診て頂いた大学病院の医師すべてが(3人)こちらの状況を聞くと、それをどの医師も流れるようにパソコンを打つ…。余りにもスムーズなので見とれるほど…。まるで昔の速記のようである。
一方では、ポケベルで呼ばれて、検査部屋に入る前に確認するのは氏名。さらに検査を受ける時に確認するのは生年月日。このアナログ感とのアンバランスが逆に何とも興味深い。
次から次にやってくる患者さんをさばくための最も効率的な運営方法は、このようなコンピュータ管理以外にないだろう。大学病院に行って驚いたことはシステムだけではない。看護師さんをはじめ、検査をするスタッフ、受付のスタッフ、医師など病院のスタッフのほぼ全員が親切なことである。
私はずっと公務員のクールな対応を想定していた。失礼だけど機械的に患者と接するに違いないと勝手に思い込んでいたのである。確かに外来患者が多く(特に眼科は多いらしい)、予約の時間が大きく崩れる。「3時間待ちの3分診察」とはよく言ったものだ。
この問題の解消は必要だろう。その解決策はより高度なシステム化も考えられるかもしれないが、最終的にはスタッフの増員しかないように思われる。それにはより多くの経費がかかる。「高齢社会の現在、高齢者にかかる費用をさらに上げることはどうなんだろう?」
目の治療に行って、最近の医療の現状とか、「国民がより納得できる税金の使い方は?」など考えさせられる今日この頃である。
2017年01月