「神ってるカープは日本1へ」 バックナンバー
「あのカープが優勝」と街の幟にも…。まさに「あのカープ」の優勝である。悲しいことに今年優勝するなど想像の外であった。しかし、昨年黒田投手がメジャーから戻ってくれたとき、「優勝」の文字が浮かんだ。それは私だけではなかっただろう。
なぜなら日本を代表する前田投手もいた。さらにはジョンソンもいる。十五勝が期待できる投手が三人いるチームは優勝に最も近いと期待は膨らむばかりであった。
ところが結果は、ホームランかどうかの誤審もありまさかの四位。CSに出場できる権利さえ得られなかった。
今年はマエケンがメジャーに行ってしまったので、優勝など思いもしなかった。鯉のぼりの時期には例年通り調子は良かったが、交流戦に入ると、これまた例年通り一気に順位が下がるものと期待などしてはいなかった。
ところがどうしたことか、夏の珍事が起きた。交流戦が始まるとジリジリ下がるどころか、セリーグの他のチームがパリーグに負けるのをしり目に、何と交流戦を三位で終えたのである。(ちなみにセリーグ二位の巨人は交流戦十二位中七位)
交流戦最後の三試合では鈴木誠也選手が三試合連続ホームラン。まさしく「神ってる」としか表現のできない「神がかった」活躍を見せたのである。ここから期待は一気に膨らんだ。「ひょとすれば!」という期待である。
しかし、二位巨人との直接対決で二連敗したときは肝を冷やした。ゲーム差は四.五ゲーム。三戦目に敗れると三.五ゲーム差になる。このときばかりはビビった。あの長嶋氏のメークドラマが一瞬脳裏を過ぎった。
あの8月7日の危機を脱出した試合以降、優勝に一歩一歩確実に近づきつつあるのを実感した。しかし、どこかに一抹の不安を抱えていた。マジック20が出ても、まだまだ不安は拭いきれなかった。なぜならマジックは消えたり、逆マジックが出ることもよくあることだからだ。
ところがどうしたことだろう、マジックがみるみるうちに消えていった。カープが負けないだけでなく、巨人が勢いを失ったのが大きな理由だろう。私が抱いていたマジックのイメージを払拭するペースであった。
おそらくカープの球団も余りにも早いマジックの消滅に準備で大変だっただろう。大変といえば優勝セールの準備のお店も、対応に嬉しい悲鳴を上げたに違いない。
25年ぶりの優勝には訳がある。ベテラン黒田、新井がフォアーザチームに徹していて、その姿勢が若い選手に浸透したこと。監督、コーチが徹底して粘り強い攻めを指導したことなど挙げられる。それは本年度だけでなく昨年度から我慢を続けてやった成果が出て来たのではないか、と。
それ以外にも考えられる。カープは資金がなく、今までは常にFAで良い選手を他球団に持って行かれた。FAは金満球団に有利な制度である。カープにとっては、選手が育てば育つほど他球団にさらわれる矛盾する結果になっていたのである。
しかし、今年カープには孝行選手が現れた。マエケンである。彼がメジャーに行くことによって、カープは外国人の助っ人を獲得する資金を得た。その資金でルナ、ヘーゲンスなど外国人を雇い入れることができた。このように考えると、今年の25年ぶりの優勝はマエケンによる要因もあるのではないかと、私は考えている。
加えてカープ女子の増加で、観客数の増加、関連グッズの販売増があった。今までと比較すれば、資金に余裕が生まれたことが大きいのではないかと思っている。
ホームグランドで強いカープ。今年は日本一を目指す。「神ってる」カープ。
2016年09月