スマホ・携帯の影響 バックナンバー
携帯電話とかスマホは今や、中学生の半数を越える生徒たちが持っている。授業の休憩時間になると、たった5分間でも気になる生徒も多い。Lineをやっている生徒も多く、見たかどうかは分かるはずなのに、すぐに返事を返さないと怒る人もいると聞く。
離れたところにいる者同士が簡単に連絡がとれ、人間関係を良くするはずの便利なグッズである携帯・スマホが、逆にそれが人間関係を悪くさせるツールになる場合もあるようだ。それでLineを止めたいと思っている生徒も少なからずいる。
それだけではない。常に携帯・スマホに触れていないと「何か落ち着かない」感じに陥っているのではないかと思われる人もいる。自転車に乗りながら、歩きながら、酷いのは車を運転しながら機器を使用している人も年齢、男女を問わずいる。
こういうレベルになると依存症に近いのではないか。「自分だけは…」と思っていても、どこに危険が潜んでいるか分からない。場合によっては自分だけでなく、他人の命を奪いかねないのである。
ところで、「週刊文春6月22日号」に気になる記事が掲載されていた。タイトルは「スマホ1日1時間以上で子どもの成績が下がる!」
この調査は、昨年度宮城県仙台市教育委員会と東北大学が共同で行った結果である。その対象は中学生24000人で、「仙台市学力検査」と「仙台市生活・学習状況調査」を分析したものだ。これだけの膨大な量になると信頼性は高い。しかも公的な機関による調査である。
統計は平日の勉強時間を、2時間以上、30分~2時間、30分未満の3段階に分類。スマホや携帯を使う時間をまったくしない、1時間未満、1~2時間、2~3時間、3~4時間、4時間以上の6段階に分けている。
数学が顕著で、1日2時間以上勉強している生徒で、機器をまったく使わない・使用が1時間以内は数学の平均点は約75点。1日勉強時間30分以内の生徒で機器をまったく使わない・使用が1時間以内の数学の平均点は約63点。
ところが、1日使用時間が長引くに連れて平均点はどんどん下がり、1日使用が3~4時間になると、1日の勉強時間が2時間を越えているにも関わらず、勉強時間が30分以下の生徒の得点を下回り、何と約61点になる。数学だけでなく、他の科目でも、明らかにその傾向が表れているようだ。
従来は、携帯・スマホを使うために勉強時間が短くなって成績が下がると考えられていた。しかし、結果はそうではないことを示している。
少し長くなるが、週刊文春の記事を引用する。[川島教授はこう語る。「スマホを使っている時の脳の動きを調べたデータがないため、まだ仮説の段階ですが、私は次のように考えています。テレビを見たりテレビゲームをしている時、脳の中の前頭前野という部分は安静時以上に血流が下がり、動きが低下することが分かっています。また、ゲームで長時間遊んだ後の30分から1時間ほどは前頭前野が麻痺したような状態となり、機能がなかなか回復しません。この状態で本を読んでも理解力が低下するというデータもあります。また、テレビの長時間視聴を3年続けた5~18歳の子の脳をMRIで解析すると、前頭前野の思考や言語を司る部分の発達が、長時間視聴しない子に比べて悪くなる傾向がこれまでの研究で確認できています。…略 ]
週刊文春の記事にもあるように、「大人のギャンブル依存症より深刻」な問題になる可能性も考えられる。保護者で気になる方にお勧めする。ぜひ一度「週刊文春6月22日号」に目を通して頂きたい。
2014年06月