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 小保方氏の研究           バックナンバー

 小保方氏のSTAP細胞の論文が話題となって久しい。偽メール問題、芸能人の薬物問題がマスコミの中心話題に移ってきてはいるが、インパクトのある話題だけに今なお、根強くマスコミを賑わせている。

 彼女の研究内容より、むしろファッション、人となり、外見を中心に面白おかしく取り上げているマスコミもある。つまり、
彼女の実験内容の本質とは違うところでの論議が中心ではないかと思われてならない。

 論文の手続きのミスを盛んに指摘する報道もある。研究発表でコピー&ペーストはもちろんあってはならない。しかし、
今の若い人たちの中には論文を書く際、この手段を使った人も結構いるのではないか。実際問題として、「調査委員会の委員長」が、同じ疑義で辞任に追い込まれている。

 
中沢新一氏は私たち素人にも分かるように、「週刊現代」で次のように説明している。「STAP細胞は胚幹細胞やIPS細胞と違って、遺伝子を取り出し、別の細胞に埋め込む操作が行われない。弱酸性の溶液をみたした極細の管の中を通して細胞に『ストレス』を与えてやるだけで、細胞の初期化が起こるというのだ。」つまり、「変化のための環境を整えてやるだけで、あとは生命に内在するある種の『知性』が自分を初期化していく行動に出るようなる」と。

 「これまでは、いちど分化をとげてしまったものは、自然状態ではけっして元にはもどらないと信じられてきた」ことが現代の常識であったが、
「人間の知性能力だけ考えていると不可能に見えることが、自然に内在する知性との同盟によって、案外うまくいくかもしれないという可能性を考えている」とも、氏は述べる。また、それが日本的な発想であると…。

 
立花隆氏も別の週刊誌で「STAP細胞の可能性」を対談で述べている。その1つの例として、クローンの豚を作った研究者は、他の研究者が実験しても出来なかったため何年も信じられなかったが、豚より難しい牛のクローンをつくった研究者の出現によって評価が変わったと…。

 
「手の内を全部見せない」のは研究者が一歩リードしていくためには当然であろう。また、微妙なさじ加減など、当人しかできない職人芸的部分もあるだろう。IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中氏は「手の内」を全部見せたため短期で信じられたが、逆に優位性は失われたのではないだろうか?

 
受精卵は分裂を繰り返す胚になり、やがて生物の成体に成長していく。この過程を逆に戻すという考え方である。まさにコペルニクス的発想の転換である。あり得ないと考えるのが、現在の常識である。しかし、現在の常識は100年もすれば非常識になる。ましてや科学進歩の速い現代において、それほど遅くない時期に実現するのではないか。

 中年の男性は彼女を信用する人が多いとか少ないとかの、本質とはかけ離れた調査をしているTV報道もある。科学の世界はそういう支持率を競うジャンルではない。あれほど持ち上げていて、今度は手のひらを返している。

 
彼女の着眼点はユニークで、私たちの常識をはるかに越えた発想である。日本で受け入れられなければ、海外で受け入れる国はあるだろう。実際、オファーも来ているらしい。そうなれば日本は大変な損失を被ることになるのではないか。彼女が研究を続けられる場所を提供する、懐の深い企業が現れないかと願う昨今である。

2014年05月