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 食文化に大きな影響を与えた高橋氏   バックナンバー

 代表的な健康食品である蕎麦は、広島辺りでは一部のマニアの食べ物であった。しかし、昨今若い女性にも浸透しつつある。低カロリーというだけでなく、ビタミンB2を多く含みカロリーを燃やしてくれるので、ダイエット効果を期待する向きもある。

 確かに蕎麦を食べた翌日に体重計に乗っても、体重増で落ち込むことは少ない。もちろん、蕎麦だけでなく、他の高カロリーの食品を大量に摂取していれば話は別である。昼食を蕎麦に変えただけで、1年間に数キロ痩せたという話を聞いたこともある。さらに、蕎麦にはダイエット効果だけでなく、血圧を下げる効果もある。蕎麦に含まれている「ポリフェノール」に、その効能が含まれているらしい。

 実は私も蕎麦マニアの一人で、美味しい手打ち蕎麦があると聞けば、多少無理をしても食べに行く。片道1時間以上かけて行くこともザラである。こうなると蕎麦好きというより病気に近い。当初はそば殻も一緒に挽いた「田舎蕎麦」が好きであったが、数年前からはそば殻を除いた「江戸蕎麦」に惹かれている。

 「田舎蕎麦」は蕎麦の香りが強く、蕎麦を食べたという気持ちにさせてくれる。それが田舎蕎麦の良さだろう。特に出雲の「割り子蕎麦」は花ガツオ、ワサビ、ネギをダシに入れて食べるので、強くなければ蕎麦の香りが消されてしまう。やや、甘いダシと絡ませる食べ方は、実に理にかなっている。

 一方、江戸蕎麦は蕎麦の「ほのかな香り」を楽しめる。そのために薬務を多く入れない。ダシも辛目で、うどんのようにはたっぷりと付けない。蕎麦の先の3分の1くらいにつけて食べる。すると蕎麦のほのかな香りが口の中に広がる。これもまた、理にかなった食べ方ではないかと思う。

 田舎蕎麦から江戸蕎麦が好きになった転機はいつだったかと思い浮かべても、はっきりした記憶がない。しかし、細い糸をたぐるように記憶を繋げると、思い当たる節もある。それは美味しい手打ち蕎麦屋が広島に増えてからである。

  あの著名な、蕎麦の世界では神様のような、高橋氏が広島の県北の豊平町(中国山地)に居を移してから、広島では美味しい「手打ち蕎麦屋」が増えた。ネットで検索すれば「手打ち蕎麦屋」はいくつもヒットする。前述のように軽いブームと言えるかもしれない。

 うどん文化の西日本に大きな転機を与えたのが高橋氏である。広島では「高橋氏」の指導を受けた人も多い。彼の開いている「蕎麦教室」に何回か通って、自宅で蕎麦屋を開くパターンが多い。

 洋食とか本格的な和食の店舗と違って、自宅を少し改装して営業できるため家賃もかからず、脱サラの人が入り易い業種のようだ。「古民家」がもてはやされる昨今、上手くそれに乗っている。人気があっても、「?」と思わせる腕の蕎麦屋が中にはあるのも事実。

  ところで、広島は全国的にも「お好み焼き」で有名な街である。あの甘いソースは広島独特の味覚を象徴している。そういう甘さを好む風土に、「辛いダシ」で一石を投じ、「江戸蕎麦」好きの人口を紛うことなく増加させた高橋氏の力は、まさしく偉大であると言わざるを得ない。

 たった一人の人間の存在が、食文化に大きな影響を与えた。彼とは比較にならない小さな存在ではあるが、淳風塾も子どもたちの人生に影響を与えることができるなら、そんな幸せなことはない。

2012年02月