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 他人の話を聞かない生徒の理由?     バックナンバー

 「伝言ゲーム」というゲームがある。ご存知だろうか?40代以上の方なら1度や2度はやった経験があるはず。経験の無い人のためにゲームを説明する。

 例えば、20人いるとする。それを10人ずつの2つのチームに分けて、それぞれ1列に並ばせる。それぞれの列の先頭の人にだけ、伝言内容を耳打ちする。先頭の人はそれを2番目の人にだけ耳打ちする。2番目の人は3番目の人にだけ耳打ち。これを最後の10人目の人まで繰り返す。そして、どちらのチームがより正しく内容を伝えたかを競うのである。

 短い単語ならば、どちらのチームも最後の人までほぼ正しく伝わっている。ところが、
やや複雑な内容になると、先頭の人が聞いた話とはまるで違った内容に変わっている。「そんなバカな!」と思うかもしれないが、実際にやってみるとその違いに驚くに違いない。

 誰が間違えたのか、後で耳打ちされた内容を言い合うと盛り上がる。同じ人が間違えていることも多い。

 その原因は何であろうか?
一つには相手の伝えている内容を正しく理解できないことが挙げられよう。これは意外に多い。次に相手は正しく伝えていても、自分の思い込みから間違って捉える場合もある。

 ゲームで、しかも真剣に聞いている場合でもそうであるから、
日常会話ではお互いに正しく伝わっていないことは実に多い。これがトラブルの原因にもなる。 さらに、相手の言っていることを常に適当に聞いている人もいる。要は自分の言いたいことだけをしゃべり、相手の言っていることは、上の空のタイプの人間。

 
こういうタイプが最近増えつつある。外食していて、隣の席の話を何気なく聞いていると、どちらも自分の言いたいことを言い合っているだけ。相手の話はほとんど聞いていない。それでいてお互いに楽しそうである。世間話ならそれで良いだろうが、ビジネスとなるとそれでは済まない。

 このように大人でも、子どもでも他人の話をあまり聞かない人がいる。
聞いているように見えても実は何も聞いていないのだ。気がつかないかもしれないが、周りを意識して観察すると、意外にこういうタイプは多いのに気付くだろう。

 なぜ、こういう風になるのだろうか?私は
子育てに起因しているように思われてならない。保護者が口うるさい場合、子どもはそれを聞き流す傾向がある。いちいちそれを本気で受け止めていては精神の異常を起こしかねない。

 人間の精神はある面では強いだろうが、ある面では非常な脆(もろ)さを持っている。そのために、精神的な異常をきたす前に、身体が自然にストップをかけているのではないだろうか。
これが積み重なると、どんな時でも聞き流す「クセ」がついてしまうのだろう。

 
「私は子どもに口うるさく言っていない」と思っている保護者が大半である。しかし、それは自称である。本人は言いたいと考えている10に1つしか言ってないつもりでも、聞いている方からみれば「うるさく」感じている。

 
子どもと保護者の関係を、嫁と姑の関係に置き換えたらどうだろう。姑は10のうち1つしか言ってないつもりでも、嫁から捉えれば「うるさく」感じるのではないであろうか?  保護者がうるさく言えば言うほど、他人の話を聞かない人間を育てているかもしれない。それはまた、仕事の出来ない大人になるかもしれない。

2011年08月