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 長期的展望に立った問題解決を!     バックナンバー

 日本の人口減少は著しい。総務省の統計でも、日本人の総数は平成16年の1億2666万人をピークに、下がり続けている。毎年、50~60万人が減ることになる。外国人を加えた総人口でも同様に減少の一途をたどっている。

 出生児数の予測を見ると、空恐ろしい感さえする。平成57年には約46万人しか生まれない。団塊の世代の出生児数200万人超の約5分の1に過ぎない。平成57年は遠いようであるが、ホンの34年後で、現在20歳の若者が54歳のときである。

  これは何を意味するのであろうか?それはあらゆる国内需要の縮小である。前年比売り上げ何%の増減などと悠長なことを言っている場合ではない。

  もちろん、すべての業種、すべての地域が同じように減り続ける訳ではない。例えば、高齢者関係の業種は20年程度の短いスパンで捉えると需要の増加をたどるだろう。平成57年の死亡者数の予測、156万人(平成21年115万人)に象徴される。また、地域によっても増減は大きく左右されるだろう。

  過疎化が激しく進み、限界集落として存続が危ぶまれる地域もどんどん増えるだろう。もはや、小手先の改善・改革ではどうにもならない状況になっている。

  日本は緊急に解決すべき様々な問題を抱えている。経済低迷の問題、東北大震災の復興の問題、エネルギー源の問題、年金問題など枚挙(まいきょ)に暇(いとま)がない。しかし、マクロ的視野を欠いた、当面の、換言すれば小手先の問題解決ばかりやっていては、長期的にはますます日本は落ち込むことになる。

 東北地方の復興においても、過疎化を食い止めるための視野がなければ、一時的に復興したところで、長期的には限界集落になってしまうだろう。

 年金問題においてもしかり。世代間の助け合いの制度、つまり、現在年金を納めている人が高齢者の年金を支える制度を、どんなにイジっても根本的な解決にはならない。

 エネルギー問題も同じである。化石燃料(石炭・石油)に頼ったり、ウランに頼っても、いずれ資源の枯渇は避けられない。特にウランは今回の事故で、その危険性とコストの高さが証明された。「原発は安全で安い」と主張していた経営者、学者、政治家、役人たちは、現在どう考え、どう主張しているのだろうか?

  日本人は欧米の人たちと比較すると、長期的に物事を見る傾向にある。それは狩猟民族と農耕民族の違いではないかと思う。しかし、様々な問題解決を図る場合、短期的な視野に終始しているように感じてならない。

 その原因は一体何であろうか?短期的に捉える人たちが中心となっているからではないのか?その人たちとは、短期的に捉えた方がメリットを享受できる人たちを指している。より具体的に述べると、定年間近でしかも実権を握っている人たち、あるいは、それによって利益を受ける人たちが中心となっているのではないであろうか?また、利権もからんでいるように思われてならない。

  彼らにとって、最大の関心事は「己の利益」である。日本人の今後より、己の利益、己の老後に関心があるのではないか?そう捉えれば、従来の小手先の問題解決の仕方は納得がいく。

 今後も長く日本に住み、日本を背負っていかなければならない人たち-若者-にもっと重要事項の決定に加わらせてはどうだろう。また、若者たちも、もっと声を上げて欲しい。高齢者が増えれば増えるほど、今の傾向はさらに進むのは必至である。

 利権や目先を追う人たちに日本を任せていては、どうにもならない袋小路に入り込む。日本はまさにその一歩手前にいる。これは私の思い過ごしであろうか?

2011年05月