塾と一般の商店との経費の内訳の違いは何だろう?ズバリ一番の違いは仕入れである。物品販売業の最も大きな割合は商品の仕入原価である。もちろん、業種によってかなり異なるが、一般的には売価の65%~70%が仕入原価である。
それに対して、塾の場合は一般的に仕入原価が存在しない。 問題集など仕入れも原理的には存在する。しかし、情報産業である塾は、一定規模であれば独自の情報を持っている。塾で一番大切な情報は言うまでもなく生徒に理解させるための情報、換言すれば指導のためのノウハウの一環としての情報(問題集なども含む)は独自に持っている。
これは物品販売業との一番の違いである。そのために塾の場合は人件費が最も大きな割合であることは論を待たない。
デフレ傾向ではあらゆる業種が価格を下げる。物品販売業にとって「価格を下げる」手っ取り早い方法は仕入原価を下げることである。 もちろん独自の合理化も行う。正社員を減らす社会的背景がそこにある。 製造業で下請けから仕入れる価格を下げるのも、まったく同じ原理である。このように他の業界においては、価格下落を吸収させうる手っ取り早い手段がある。
では、塾が「授業料を下げる」手段は何であろうか?前述のように塾の経費の多くは「人件費」である。そのため「社員のウェイト」を下げる方法もある。
しかし、塾にとっての生命線は教師にある。やり直しがきかない、子どもたちの人生を左右する大きな社会的責任がある。「あのとき、ああしておけば…」と大きな後悔をさせないためにも、塾は単なる利益追求の存在であってはならない。
何度も指摘しているように、勉強は積み上げを必要としている。どこか理解できないとことがあれば、2年前に遡った単元にその原因がある場合も不思議ではない。それがどこであるか、つまづいた個所を的確に判断し、その生徒にあった理解を促すのが「塾教師のよって立つ存在理由」だと思う。
加えて、本年度から「新指導要領」の先行実施がある。今までの「ゆとり教育」で、生徒の学力は想像以上に落ちている。その生徒たちに、「3学期に」配布される「追加内容」を理解させるのは想像以上に厳しいと思われる。さらに授業数が減っている条件も加わる。
それだけではない。学生アルバイトの中には(若い正社員の塾教師もだが)、指導する本人自身さえ習ったことのない内容を指導することになりかねない。
淳風塾は「頑固一徹」に正社員に中心の指導にこだわりたい。それこそ「淳風塾のよって立つ社会的存在理由」であると確信している。もちろん、指導形式はダイナミックな変革を拒まないことは言うまでもない。そして、卒業生が顔を見せに来る塾であり続けたい。