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 臨機応変ができなければ?        バックナンバー

 昼食を食べにある洋食店に行ったときのことである。その日は偶然地元のテレビで紹介された日であったらしい。店内はお客さんで一杯であった。それだけでなく順番待ちのお客も20人くらいいた。

女店員が慌しく店内を走り回っている。順番待ちのお客のところに来たり、食事中のお客さんのところに行ったり、気の毒なほどの奮闘ぶりであった。店内の気温は適温に保たれているが、文字通り汗だくであった。

経営者の悲しい性で、すぐに「人手が足りないのかな?それとも人の配置が悪いのかな?」などとすぐに考えてしまう。厨房の中には3人、ホールが2人の配置で悪くはない。客数を考慮すると適正な人員と配置に思える。

「では、どうして走り回るのか?」と、店員の動きをよくよく見るととんでもないことに気づいた。広い店内を走り回っているが、彼女は何も持ってはいない。何も持たずにただ走り回っているだけである。

順番待ちのお客さんのリストを見ては、食事中のお客さんの近くまで行く。そして、必死に走って帰り、また、順番待ちのリストを見ては食事中の客の近くまで行く。それを目まぐるしく繰り返しているだけである。

カウンターに出来上がった料理にはほとんど目もくれないばかりでなく、食事を終えたテーブルを片付けようともしない。時折、そういう動きをするが5,6回に1回に過ぎない。ただ、ひたすら走り回っているだけである。

厨房にいる料理人も自分の担当の料理をひたすら作っている。出来上がってもホールの女性に声もかけない。「自分の仕事はこれだけ!」と強く思っているようだ。店の名前は書かないが、この話は決して私の創作ではない。まさにウソのようなホントの話である。

また、このような光景を見たのはこの店だけではない。以前にも同じような経験がある。

ある店に行くと「ただ今満席ですのでしばらくお待ち下さい」とのことで、順番待ちになった。私より先の5,6人のグループも1組いた。さりげなく彼らに聞くと、すでに30分以上待っているという。

気になったので中を見るとホールには2人の従業員がいたが、特に何をするでもなくボーと突っ立っている。しかし、お客さんに呼ばれて注文を聞くのは実に丁寧で、出来上がった料理をこれまた丁寧に運んではいる。

そのとき自分の目を疑った。満席だと信じていたが、よくよく見るとお客さんのいない席が2つあるではないか。しかし、後片付けはされていない。すでに帰った客の皿、鍋などがところ狭しとばかりテーブルの上にある。

ボーと突っ立っていないで、さっさとテーブルを片付ければ、空き待ちの2組のお客を待たせなくてすむ。たったそれだけの話である。

従業員に「どれだけ待てばいいのか?」を確認すると「もうしばらくお待ちください」と言ったきりで、まったく片付けようという様子はなかった。この時は、さすがに私もキレて他の店に行った。

自分が何をしなければならないか?いま、どういう状況なのかを理解できない人は多い。接客業に限ったことではない。他の仕事でもしかりである。バタバタ動いているのにまったく仕事がはかどらない、営業成績が上がらない典型的なパターンがこれである。

こういう人に限って「ああ、忙しかった!」「人が足りない!」などと声高に主張する。また、自分があたかもその職場で「なくてはならない人材」かのように錯覚するのもこういう人に多い。

それもそうだろう。走り回って汗ダクで働いていたり、丁寧な接客をしているのだから…。自分が組織の中で必要不可欠な人材と錯覚してそれを吹聴するのも、一面では主観的事実と正しいと言えよう。

淳風塾はこういう人にならないように、生徒を指導したいものである。自分自身どういう指導をしているか、今一度見直したいと思っている。それだけでなく自分自身も走り回っているだけでないか見つめ直したいと思う昨今である。(2006年01月発表のひとりごと)

2009年7月  



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