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 世界不況の行方

サブプライムローンに端を発した世界的な不況が襲っている。リーマンブラザーズの経営破たん、大手銀行シティバンクも厳しい状況にある。また、アメリカ大手の自動車メーカーも危機的な状況にある。

その根本的な原因は何か?経済ど素人の私には分からない。しかし、原点に立ち戻って素朴に考えると意外にその本質が見えてくる。

マスコミ報道によれば、年収300万円の人に2億円も貸す事例があるようだ。これは正当な融資と言えるであろうか。家のローンを組むとき、その土地の驚異的な値上がりを前提にした融資などありえない。土地の値上がりが止まればローンが焦げ付くのは火を見るより明らかである。これをどのように証券化して体裁を繕っても、所詮は投機以外の何物でもない。

自動車産業においても明確である。地球温暖化は間違いなく我々の地球を破壊的な自然環境にさせる。現在の利益がいくらあろうとも、地球に人類が住めなくなれば何の価値もない。世界の自動車産業で強い会社はトヨタとホンダと思われるが、その理由は言うまでもなく省エネルギーと排気ガス対策のトップを走っているからではないだろうか?

理由はそれだけではない。両社は単年度の利益だけに目を向けるのではなく、将来にわたる利益を見据える経営姿勢にもある。企業内の評価基準が単年度の利益に重点が置かれる環境であれば働く人たちは「明日」を見なくなる。

労働の流動化もアメリカは日本とは比較にならない。その理由も「単年度重視の姿勢」から生じる必然的帰結であろうと思われる。これでは愛社精神は生まれない

振り返って日本の雇用形態にはまだまだ終身雇用が残っている。企業のグローバル化と称して終身雇用を悪とみなしている企業もあるが、本当にそうであろうか?日本の先端技術を支える中小企業に終身雇用制が多いような気がするのは私の錯覚であろうか?

自分自身がその企業でお世話になると思うからこそ、その企業の「明日」を考えるのである。いつレイオフされるか分からない企業の明日を考える人たちは生まれるはずがない。

さらに、アメリカの大手企業の経営者は途方もない給与を取っている。経営者と従業員と株主の利益配分がいびつに感じられてならない。3大メーカーの最高責任者の年俸はいずれも10億円を越えていて、20億円の年俸の社長もいると報道されている。議会の説明に「自家用ジェット機」で来るなど、彼らの経営姿勢が如実に出ている。

ところで、グローバル化を声高に叫んでいた学者や経済評論家は、いま何と言っているのであろうか?世界の金融を日本にもっと引き込むことを盛んに叫んでいた学者、評論家が多数いたような…。経済の基本は物造りであって、決してマネーゲームではない。

前述のように私は経済理論には無知である。しかし、アメリカの著名な学者が主張すれば、それに追随しているだけの学者、評論家が多いような気がしてならない。何でも微に入り細に入って考えれば考えるほど重要かつ大局を見失いがちである。

グローバル化の象徴であったアメリカ自体が、世界経済におけるその存在位置を下げている。政治的にも経済的にも多極化の時代であり、アメリカが圧倒的に強い時代は去っている。大きな変革もなく、このまま日本のあり方が続けば日本の位置もますます下がるであろうことが容易に想像される。

明日を担う子どもたちと接する機会を与えられた我われは、彼らが自分の頭で考え、自ら行動するささやかな触媒になれれば、と思う昨今である。

2008年12月


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