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 京大入試カンニング事件         バックナンバー

 ネットを使った新たなカンニングが発覚した。不謹慎な言い方で、お叱りを受けるかもしれないが、ある意味でその発想は面白い。しかし、すぐに発覚すると思わなかったのだろうか?匿名でもその発信元は調べることができることを知らなかったとすれば浅知恵である。万一、彼が直接知人に送っていたら発覚しなかっただろう。

 匿名性を利用して、ネットでは「あることないこと」が書き込まれる。書いている本人は、特定されないという安心感がそうさせるのだろう。しかし、訴えられたら一発でアウト。すぐに発信元は特定できるのである。

「尖閣諸島事件」のときに、どこから発信したかも特定できた。また、相撲賭博問題でもそれは明らかになった。万一、お相撲さんが携帯電話を提出しなくても、契約先が分かればすべてその証拠は残っているはず。警察が本気で調べる気になれば、1か月もかからないだろう。

カンニングは古くて新しい問題である。隣の席の答案を密かに見る、手に書いておく、机の中にカンニングペーパー(以下カンペー)を入れておく、強烈に小さく書いたカンペー-を筆箱に忍ばせておく、などがクラシックなカンニング方法である。

  少し高度になると?ティッシュに書いて置いて見つかりそうになると鼻をかむ、袖にカンペーを密かに持つなどであろうか。いずれにしても慣れた試験管が根を光らせておいれば、すぐに発覚する。

 
現場に立っている私からすれば、よほど上手くしなければそれらの手口はすぐに分かる。今回も携帯を何らかの方法で操作していたのだから、机の中にカンペーを忍ばせて置くのと本質的には変わらない。それが試験中に発覚しなかったのは、本人の芸術的な上手さ?か、あるいは試験管の不慣れとか、真剣さの欠如も一因であろうか?これはいずれ警察の捜査によって明らかにされるだろう。

  第三者的な言い方になるが、
真剣に試験監督をすれば、受験生の目の動きとか不自然な動作に気付くはずである。それに気づかれないほど、彼のカンニングは手慣れていたのだろうか、それとも、余りに受験生を信じすぎた試験管の見落としなのだろうか、いくつかの疑問は残る。

  さて、カンニングしてまで、なぜ彼は京都大学に入りたかったのだろうか。大きなリスクを冒してまで京大に入って、何を学びたかったのだろう。それとも
単に名門大学の学歴が欲しかっただけなのだろうか? 京大で学びたい何かがあるなら、その講義を受講生として受講すればいいだけのことである。単に京大というブランドを欲しいということなら、彼は現在の社会を知らなさすぎる。

 
現在は有名大学を出ても、就職が簡単に手に入る時代ではない。例え、就職できたとしても、その中で業績を上げなければ生きてはいけない。学歴だけで生きていける程、現在の社会は甘くない。

 
良い大学⇒大手の会社に就職⇒安定した生活⇒安心な老後、という図式はとっくの昔に壊れている。自分の能力以上の企業に入れば入るほど、高い能力を要求される。さらに人材は豊富で競争は激しいことは必至である。しかも、それだけではない。どんな大企業でも、国際化の中では生き延びられるどうかの保証さえない。まさにカオスの時代なのだ。

 ところで、今回の事件で多少気になることがある。
彼の犯した罪はカンニングである。隣の答案を盗み見したのと、あるいはカンペーを見たのと基本的には変わらない。逮捕するほどの犯罪であろうか?また、マスコミが何度も何度の大きく取り上げるほどの大事件であろうか?もっと冷静にこの事件を見る必要があると考えている。

2011年03月