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 円高はチャンスにもなる!       バックナンバー

 「国債発行額が900兆円を越えているので、ギリシャのように国家が経済破綻の危機がある。」という議論が盛んに言われている。

 先日も、何気なくテレビを見ていると、破綻をした場合の、悲惨な状況の想像場面を映し出していた。街は失業者が溢れ、想像を絶するインフレに見舞われる。その結果、物々交換になるため農家が強くなり、農家もやがて立ちいかなくなる。

 私にはどうも分からないことが多い。国際的に捉えると、経済破綻をするかもしれない国家の通貨の価値が上がるものだろうか?信用不安があれば下がるはずである。ところが、日本の通貨である円の価値は上がっている。国際的な信用が上がっているのである。

 円高が進めば「円高で日本経済は輸出がダメになり一層不景気になる。」という議論もある。 確かに一般的な議論としては正しい。しかし、日本経済の輸出依存度は、今やかなり低くなっており(10%強?)、経済に及ぼす影響はそれほど高くない。

しかも、最近の輸出統計によれば、円高でも輸出高は減ってはいない。耐久消費財である車などは減っているが、日本の輸出の大半は「消費財を作る生産財」の輸出である。そのために円高の影響は低くなっていることを事実が証明している。

 日本は加工貿易の国であるため、輸出だけではなく輸入もしている。そのため、円高が進めば輸入関連の企業は、利益の拡大が予想できる。実際、電力会社などは円高になればなるほど利益が上がる。

 さらに、円高になれば、外国の企業が買いやすくなる。かなり昔の話になるが、アメリカの有名な企業を、日本が買いあさったことがある。アメリカが危機感を募らせたと記憶している。

 円高はそういう意味ではチャンスである。ある週刊誌で評論家が言っていたように、現在日本の貯蓄のすべてを海外の企業買収に当てれば、世界の主だった企業は日本のものになる。

  また、簡潔に言えば、国債発行額は約930兆円-つまり国民の借金の額が930兆円。逆に貯蓄は1400兆円-国民の貯金が1400兆円ある、という事実がある。 極論すれば、日本国民が1人になったと仮定すると、差し引き470兆円の貯金を持っているということにならないだろうか?

 株価の低迷も円高による部分もあるだろう。しかし、海外の投資家の割合が下がっているのが株価低迷の大きな要因の一つではないか?さらに見方を変えれば、日本の株価をドル換算するとそれほど落ちているとは思わない。

 株価の低迷を投資家は声高(こわだか)に叫ぶ。しかし、本来、投資とは投機ではない。自分の期待する企業に投資するのが本来の姿である。株価が1円上がった下がったことで一喜一憂するのは、それを投機の対象とみているからではないのだろうか?

 実は私も多少の株を持っている。株価の低迷でほぼチャラであるが、まったく気にはならない。それは取引先とか応援したい企業の株なので売る気がないからである。お金が必要な時があればその時売ろうと考えている。

 本来、お金を稼ぐためには、汗水垂らせて働くことである。多くの企業がその精神を忘れ、濡れ手に粟を目論んでいたのではないだろうか?いつまでも企業の本来の姿を忘れて、不労所得に頼る企業は、いずれ社会から排除されるであろう。

  著名な学者の言うように、「株で痛い目にあっても、すぐに忘れてまたそぞろ手を出す」の繰り返し。我々はもっと歴史に学ばなければなるまい。

 円高になれば「輸出が危ない」と言い、円安になれば、「日本の信用が落ちた」と言う経済評論家。何とも、ご都合主義に思えてならない。私の知る限り、M氏だけは常に変わらぬ、まっとうな議論を展開しているように思えてならない。

2010年10月