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 マスコミよ、頑張れ!       バックナンバー

  十年ほど前にある大手新聞4部の購読をやめた。それまでずっとその新聞を個人でも購読していた。やめた理由は明快である。買って読むだけの価値が無いからである。ただ、地方紙は別の理由で購読を続けている。

 以前にも指摘したが、大手マスコミは記者クラブ制度によって多くの既得権を得ている。彼らは他の既得権に対しては厳しいが、自らの既得権については大甘と思われてならない。 例えば、議院宿舎が豪華であることを盛んに報道するが、記者クラブ会館については経費の無駄であるとの報道を目にしたことはない。

 本来、マスコミは第四の権力と称されるように、大きな力を持っている。ところが、最近の政治的な事件について、大手マスコミが端緒になった記憶がない。まず、週刊誌が取り上げて、それが社会的に問題となったところで、やっと問題を取り上げるパターンとなっている。最初に取り上げて、出入り禁止になるのを恐れているよう思えてならない。戦前の大本営発表をそのまま書いていたのと本質的に変わらない。

 一般のジャーナリストを排除した記者クラブでの記者会見など、阿吽の呼吸によって質問の遠慮もあるだろうと思われる。さらには必要以上の世論調査である。これによって世論を誘導しようという意図が感じられてならない。本来マスコミは徹底した取材・調査と組み立てによって、その主張を展開すべきである。それに自信がないのであろうか?

 もちろん、世論は民主主義にとって重要である。しかし、誰が総理大臣にふさわしいかなど1月に1回やっても意味はない。それに何の意味があるのだろう。世論通りを求めるなら1月ごとに総理を変えればいいことになる。

 14日に決まる民主党の総裁選挙についても明らかな政策の違いがあるのに、権力闘争の側面ばかりを強調しているようだ。また、野党には冷たいような気がしてならない。

 政治家の金の問題も、多くの政治家の名前が出た。しかし、今やほぼうやむやになっている。一部の政治家のみをずっと叩いて、他の政治家の継続的な取材をしていないように感じる。つまり、今話題の問題ばかりに目が行っているように思われてならない。

 また、税の無駄遣いにしても無駄遣いができるシステムを作り上げた党より、経費削減が少ないことを問題にしている。官僚を使うのが下手など大臣の批判をするが、従来は官僚の言う通りだったと記憶している。大臣に任命された記者会見でも「これから勉強して…」の台詞を当然のように言う政治家も多かった。

  中には法務大臣でありながら、最高裁判所と地方裁判所の区別さえできない政治家さえいた。国会で間違った答弁をしたと記憶している。しかし、それらを大手マスコミは徹底的に批判することはなかった。(皮肉った程度)

 さらには、最近問題となっている官房機密費についても、自ら徹底的に調査する大手マスコミもない。 これらを総合すると自らの既得権を守るための世論形成の役割を必死にしているとしか思われない。そのために金まで払って読む価値を感じない。

 わたしは大手マスコミの不要論を述べているのではない。ネットはその裏づけがない情報が、あたかも正しいものとして世界を駆け巡る。足で集めた情報を吟味し、調査して正しい情報を流すのはマスコミ以外にはない

  それにはもちろん費用がかかる。正しい情報を得るためにそのコストを負担するのは、民主主義社会を維持するために必要不可欠である。古来、無料でいいものはない。

 大手新聞の衰退は、長期的に捉えれば、社会の衰退を意味するのではないかとさえ危惧している。 大手マスコミは今一度、マスコミの原点に立ち戻って欲しいと願っている。もちろん、そのときにはわたしは購読を再度始めようと考えている。

2010年09月