温泉評論その25「オーベルジュ内子 竜王温泉」

 最近は国民的なヒット曲がない。世代間に渡る共通の興味対象が薄れている社会的な背景がそうさせているのであろう。そのためプロダクションではマーケットの対象を絞った曲作りをしている。それがまた国民的なヒット曲が生まれないという負のスパイラルを生んでいるようだ。

 ところで、この不景気な日本社会で十分な貯蓄を有している世代と言えば年寄りである。一部の豊かな老人たちは、使いきれない程の貯蓄を持っている。(たぶん) しかし、彼らをマーケットの対象とした曲は出されていない。この富裕層をターゲットにした曲がなぜ出されないのか、私の長年の疑問であった。

  私の貧弱な想像によれば、「彼らはCDを買わない」という思い込みがあるのではないか?「老人=CDを買わない」という短絡的(たんらくてき)な発想がプロダクションのエライ人だけでなく、作詞家、作曲家にも浸透しているのではないか? そのように思い込んでいるならば、アナタ方は明らかに間違っている。彼らが「わたしも買う!」と強く願う曲作りをすればいいのである。

  さて、長寿社会になって、夫に先立たれて独り身で老後を過ごす女性はどれくらいいるのだろうか?女性の平均寿命が男性より数歳長く、しかも男性の方が年上の結婚が多い、という条件を入れると数百万の後家さんがいるはず。(おそらく)

 この人たちをターゲットにした楽曲を作るのである。「旦那が死んで清々した!」と言う人、「悲しみに打ちひしがれた人」「ケロッとしている人」「ときどき思い出す人」など、その反応は様々であろう。しかし、諸君!忘れてならないのは人間存在特有の性質である。それは「過去を美化する性質」である。

  亡くなった後は、夫婦の間で若かりし頃の良き時代を思い浮かべ、さらにそれを美化して懐(なつ)かしむこともあろう。この人たちの「心を揺さぶる」曲を発売すれば売れるに売れるはず。

  広告宣伝料を抑えるために、インパクトのある曲でなければならない。つまり、マスコミが飛びつき、勝手に宣伝してくれる曲である。また、アーチストも金のかからない新人をオーディションで選ぶ。「明石家サンマ氏のからくりTV」で新人発掘をお願いする。その審査委員長は僭越(せんえつ)ながら私が務めさせて頂きます。 私の描くイメージは「夢野 仲夫氏の小説 追憶の記」の鈴木恵理タイプの清楚(せいそ)な美人が最適でしょう。

 その小説を知らないって…。あ〜あ、もっと、他のページをしっかり読まなきゃダメですよ。アナタは時代遅れになります。厳しく忠告しておきます。

「そんな上手くマスコミは乗って来ない。」と考えているアナタ。相変わらずアナタの頭は貧弱ですねぇ。誰もがアッと驚く楽曲を私は考えています。それを早く言えっ!て…。また、またぁ…。 せっかちですねぇ。

  驚いてはダメですよ。絶対に驚いてはダメですよ。それは「仏教演歌」です。バックに経が流れて、若き日の想い出の数々を詩に込めるのです。経はどの宗派でも使えるように、経のようで経でない新しい詩にするのです。 購入するのは老人だけでなく、おそらく若い人も「わたしたちもあのような夫婦になりたい。」と買うはずです。買わなければ「思いやりがないカップル」という社会風土が醸成(じょうせい)されるはずです。 (たぶん)

 これで国民的な大ヒット曲が生まれるはずです。 詩はいつでも用意できます。なあに、この温泉の露天風呂に浸り、ゆっくりとのどかな風景を眺めれば、私のアイディアは、かけ流しの露天風呂のように流れ出ます。1000万枚の大ヒット曲の作曲をどなたかしませんか。私をさておいて、このアイディアだけを盗んだプロダクションには法的措置を取ります。

天然温泉「オーベルジュ内子 竜王温泉」
 住所:愛媛県喜多郡内子町五十崎
 泉質: 炭酸水素塩温泉 低張性 アルカリ性冷鉱泉
 施設:露天・サウナ・水風呂・メイン湯船
 料金:大人1000円(食事をする人は500円)